睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が止まってしまう病気です。
多くの場合、上気道虚脱による閉塞性睡眠時無呼吸であり、無呼吸や低呼吸が繰り返し生じることで睡眠が分断され日中の過度な眠気や様々な障害が引き起こされます。ある研究では、男性の23.7%、閉経後女性の9.5%に睡眠時無呼吸症候群を有すると報告されており、決して珍しい病気ではありません。
取れない眠気・疲労に注意
睡眠中、呼吸が止まっているか否かはご自身ではなかなか気づきにくいものです。しかし、睡眠時に無呼吸を生じている場合、起きている日中に症状が現れます。就寝中無呼吸になると、体の中の酸素の量が減り、十分な酸素が脳や体を回らなくなります。そのため、休んでいるはずの体や脳にも大きな負担がかかってしまいます。このことが断続的に睡眠中に繰り返されるため、起きたときになんだが疲れている、眠気がとれていないといった症状が現れるのです。
その他にも以下のような症状には注意が必要です。
睡眠中
- いびきをかいている
- 呼吸がとまる、乱れる
- むせることがある
- 何度も目が覚めてしまう
起きたとき
- 口が渇いている
- 頭痛がする
- 眠気が取れない
- 体が重くだるい
個人によって感じ方はそれぞれですが、上記のような症状がある場合には、睡眠時無呼吸症候群を疑ってみることも必要かもしれません。
また、眠っている間のことはなかなかご自身では気づけませんので、可能であればご家族の方などに聞いてみましょう。
なぜ呼吸がとまってしまうの?
睡眠時に呼吸が止まってしまうことの原因には大きく2つあります。
のどや気道がふさがってしまう
睡眠時無呼吸症候群の患者さんのほとんどはこれが原因であり、閉塞性睡眠時無呼吸といいます。のどや気道がふさがる原因には、のど周りに脂肪がついてしまっていることや、のどの奥が狭くなってしまうことがあり、それらが睡眠時に呼吸が止まることを引き起こしています。
脳からの指令が止まってしまっている
こちらは脳から、呼吸をするという指令が出なくなってしまっているタイプで、中枢性睡眠時無呼吸といいます。のどや気道、体には特に異常はないのに、呼吸をしようという指令がなくなってしまい、無呼吸状態になるもので、主に、心疾患などの基礎疾患を有する患者に多いとされています。
こんな人は要注意
睡眠時無呼吸症候群になってしまう人には、生活習慣に問題がある場合が多いです。
呼吸が止まってしまうのは寝ている間ですが、起きているときにこそ気を付けなければいけません。
以下のような方は、注意が必要です。
痩せているからといって安心ではありません
睡眠時無呼吸症候群は太っている人に多いのではないかとの認識もありますが、じつは体形に関係なく誰でもかかってしまうリスクがある病気です。
それは、この病気が体の特徴とも結びついているからです。
- 首が短い、太い
- 下顎が小さい、小顔
- 歯並びが悪い
- 舌が大きい
上記のような体の特徴が原因となる場合もあります。
肥満は睡眠時無呼吸症候群の大きなリスク因子ではありますが、肥満がないからと言って睡眠時無呼吸が否定されるわけではありません。ある研究では閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者の38%が非肥満であったという報告もあります。
治療はどんなことをするの?
治療としては、症状の緩和と、原因となる根本の問題を改善することがあります。
症状を緩和させる
CPAP療法
こちらは寝ている間の無呼吸を防ぐために、気道に空気を送り続けるものです。機械を使い、エアチューブを伝って、鼻につけたマスクへと空気を送ります。
マウスピース
スリープスプリントとも呼ばれるマウスピースを着けてもらい、気道を広く保つことで、無呼吸を防ぐものです。
外科手術
小さなお子さんや一部の成人の方で、のどの扁桃肥大などが原因となっている場合には無呼吸を引き起こしてしまう原因となる部分を一部切除する場合もあります。
根本治療
睡眠時無呼吸症候群の原因には、患者さんの生活習慣が大きく関わっていることが多いです。症状を緩和させるだけでなく、原因となっている病気や生活習慣の改善を図る必要もあります。
太りぎみの方であれば、まずは適正体重を目指し体重をコントロールしたり、お酒やたばこの量を控え、高血圧や脂質異常症の改善ももちろん行います。
また、口呼吸から鼻呼吸をするようにクセ付けをしたり、横を向いて寝るなどの就寝時の姿勢を工夫することで無呼吸の予防をはかります。
まずはご相談ください
しっかり寝ているはずなのに、眠気や疲れがとれない、という場合には、まずはご相談ください。太っていなくても睡眠時無呼吸を有している場合は多いです。同居されているパートナーに就寝中のいびきがうるさいといった指摘があれば検査をお勧めします。他にも、何度も起きてしまう、起きたときの口の渇きが気になるなど、少しでも症状があれば受診してみるようにしましょう。
原因を探り、適切な治療や生活習慣の改善をしていきましょう。